Fマーク自主管理制度

JIS A 5758 建築用シーリング材のFマーク自主管理制度について

平成15年7月1日施行の改正建築基準法では,シックハウス対策として内装に使用される合板・接着剤・塗料など17品目が,告示によりホルムアルデヒド放散建材として規定され,F☆☆☆☆等でホルムアルデヒドの放散等級をJIS・JASまたは国土交通大臣認定に基づいて表示することとなりました。
しかし,17品目以外の建材(告示対象外建材)については,建築基準法による規制を受けないため,一部「告示対象外建材」の表示をしているものもあるが,表示は曖昧であることから流通段階等において,時として混乱を招いています。
ホルムアルデヒドの放散速度が規制される建材は,居室の内装仕上げにおいて面で使用されるもので,国土交通省告示では見付け面積が1/10以上の建材としています。
シーリング材は「線」で用いられる材料であり,室内において使用される面積は小さく,室内環境への影響が少ない材料であり,今回の改正建築基準法では幅木・回り縁・柱などと同様に規制からは外された建材です。したがって,建築用シーリング材には,規制建材のようにホルムアルデヒドの放散速度についてF☆☆☆☆のような表示を行う義務がなく,また,規制建材ではないので表示することはできませんでした。
しかし,「告示対象外建材」に対してもゼネコン等からF☆☆☆☆商品を求められるなど混乱を招いているため,(社)日本建材・住宅設備産業協会などが関係各省庁の指導のもと,建築基準法に基づくシックハウス対策に対応した適正な建築材料の選択に資することを目的として,告示対象外建材の表示方法に関する事項を定めるところとなり,「告示対象外建材表示ガイドライン」を平成17年8月に発表しました。
また,建築用シーリング材のホルムアルデヒド測定方法として,日本シーリング材工業会規格・JSIA 002:2006「建築材料 シーリング材-揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件」が平成18年1月24日付で制定されました。
これらを受け,日本シーリング材工業会ではホルムアルデヒド・Fマーク自主管理制度を開始するための委員会を設置し,制度の骨子ならびに自主管理規定について検討してきた結果がまとまったので報告します。

Fマークの製品については,製品一覧でご確認下さい。

■シーリング材のホルムアルデヒド及びVOC測定試験方法制定

シーリング材は塗料や接着剤などの面で使用される建材とは異なり,線状に一定の厚さをもって使用されることから,当工業会は(財)建材試験センターと共同で,シーリング材の使用実態に即したVOC放散速度試験方法を2003年11月から検討してきました。
このたび,調査研究報告書として各種シーリング材での試験結果が報告されるとともに,日本シーリング材工業会規格・JSIA 002:2006「建築材料 シーリング材-揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件」が平成18年1月24日付で制定されました。
この規格は,建築材料としてのシーリング材から放散するVOC,ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の放散速度をJIS A 1901「建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定方法-小型チャンバー法」の規定に基づき,測定する場合のサンプルの採取,保管,試験片の作製及び試験条件等放散に影響する事項について規定しています。
この試験方法を用い,(財)建材試験センターとの共同研究で以下に示す14種類のシーリング材についてホルムアルデヒドの放散速度の測定を行いましたが,ホルムアルデヒドは全ての試験体で定量下限値以下でした。

シーリング材からのホルムアルデヒド放散速度測定結果
シーリング材 プライマー併用有無 ホルムアルデヒド放散速度*
μg/(m・h)
1成分形シリコーン系(脱オキシム形) <1
1成分形シリコーン系(脱アルコール形) <1
1成分形変成シリコーン系 <1
1成分形ポリサルファイド系 <1
1成分形ポリウレタン系 <1
1成分形変成ポリサルファイド系 <1
1成分形アクリル系 <1
1成分形ブチルゴム系 <1
2成分形シリコーン系(脱ヒドロキシルアミン形) <1
2成分形ポリイソブチレン系 <1
2成分形変成シリコーン系 <1
2成分形ポリサルファイド系 <1
2成分形アクリルウレタン系 <1
2成分形ポリウレタン系 <1

*定量下限:1μg/(m・h) 試料負荷率10m/立方m 換気回数0.5回/h

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■Q&A

◇ホルムアルデヒド放散量の試験方法について教えて下さい。また費用はどのくらい掛かるのですか

ホルムアルデヒドの放散量を測定する場合には,日本シーリング材工業会が平成18年1月24日に制定したJSIA 002:2006「建築材料 シーリング材-揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件」により,自社または専門の試験機関で試験を行って下さい。
この規格は,建築材料としてのシーリング材について,JIS A 1901「建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散量測定方法-小型チャンバー法」の規定に基づき,具体的な試験条件等について規定しています。
なお,専門試験機関に測定を依頼する場合,試験に必要な費用はホルムアルデヒドだけですと数万円,VOC測定の場合にはVOC成分を何種類測定するかによって費用が変わりますが,VOC成分一種類で数万円になりますので文部科学省などが対象としている6種類を試験すると数10万円になります。
◇試験ではシーリング材とプライマーを別々に測定するのですか

JSIA 002では,プライマーを併用するものについては,試験片にプライマー塗布後シーリング材を充てんすることになっています。シーリング材単独で試験することもできますが,プライマー塗布・着色剤の添加など実際に使用される条件で試験して下さい。
◇プライマーにFマークは表示できますか

プライマーには酢酸エチルなど各種溶剤が含まれていますが,ほとんどの商品はホルムアルデヒドを含む原料を使用していません。Fマークはホルムアルデヒドを対象としていますので,酢酸エチルなど各種溶剤が含まれていてもFマークを表示することができます。
◇認定書はシーリング材とプライマー別々に発行されるのですか

シーリング材とプライマーについては,個別にFマークの申請を行って下さい。商品ごとに認定番号がつきますので,それぞれに認定書が発行されます。また,プライマー塗布・着色剤の添加など実際に使用される条件での認定書についても発行致します。ただし,認定書発行については一通につき1,100円の手数料が必要になります。平成20年度より3年間の有効期限を記載しています。
◇Fマークの表示の位置は決められているのですか

JISにホルムアルデヒドの規定のあるものはJISマークと並べてFマークを表示できます。しかし,建築用シーリング材・JIS A 5758にはホルムアルデヒドの規定がありませんのでJISマークと並べてFマークを表示することはできません。JISマークと離した位置にFマークを表示して下さい。
認定書
◇非会員会社の(会員会社からの)OEM製品はFマークを表示できるのですか

会員会社が製造する非会員会社のOEM製品については,会員会社が申請する場合には,自社商品と同じ一製品5,500円で受け付けます。また,認定書の発行についても同様に一通につき1,100円の手数料となります。
しかし,非会員会社が申請する場合には,3年間の登録料として330,000円必要になります。
なお,会員会社のFマーク認定商品については,ホームページに公開しています。
◇シーリング材のFマークはなぜF☆☆☆☆ばかりなのですか。F☆☆☆やF☆☆はないのですか

F☆☆☆やF☆☆は,告示対象建材に対してホルムアルデヒドの放散速度の程度による放散等級を示したものです。シーリング材は,告示対象建材ではありませんので放散等級の考えそのものがありません。
ホルムアルデヒドの放散に関する実態調査として,(財)建材試験センターとの共同研究で国内市販の14種類のシーリング材についてホルムアルデヒドの測定を行いましたが,すべて定量下限値以下となり,全く問題はありませんでした。そのため,日本シーリング材工業会の自主基準についてはF☆☆☆☆のみとなります。
◇シーリング材のFマークと接着剤のFマークは違うのですか

接着剤については,その種類によってJISでFマークの表示が義務づけられています。JISに規定のないものについては,日本接着剤工業会の自主基準によってFマークを表示しています。JISや日本接着剤工業会の定めた接着剤の試験方法は,面で使用することを想定したものとなっています。
しかし,シーリング材は目地として線で使用されますので,日本シーリング材工業会が制定した試験方法JSIA 002:2006では,使用実態にあわせ,目地状の試験片にプライマーを塗布してからシーリング材を充てんする条件となっています。
認定団体及び試験方法が異なることより,接着剤工業会JAIA F☆☆☆☆と日本シーリング材工業会JSIA F☆☆☆☆の併記表示はできません。
◇シーリング工事に使用するテープやバックアップ材にはFマーク認定商品があるのですか

日本粘着テープ工業会(正会員19社・賛助会員68社)では,建築用に使用している製品にFマークを認定する予定はないようです。そのため,建築内装用テープ製造会社は,「テープは改正建築基準法(2003.7.1)の対象外となっていますが,接着剤と同等試験を行った結果,F☆☆☆☆等級と同等の測定結果が得られています。」として,「F☆☆☆☆同等品」と表示しています。また,バックアップ材については工業会のような受け皿組織がありませんので,Fマーク認定商品はありません。
シーリング材とセットで使用されるボンドブレーカーやバックアップ材は,内装に使用した場合そのまま残りますので,施主・設計・ゼネコンなどからFマーク認定商品を求められることになると予想されます。
しかし,今回日本シーリング材工業会がFマークを認定する商品は,シーリング工事に用いられる材料のうちシーリング材,プライマー及び着色剤であり,ボンドブレーカーやバックアップ材を対象にはしていません。
◇Fマーク表示には罰則規定があるのですか

建築基準法で規定されている17品目の建材については,表示に違反があれば建築基準法違反となりますので罰金が科せられます。耐震強度偽装から罰金の引き上げが議論されていますが,現行最高で50万以下,違反内容により30万以下,20万以下などとなっています。
シーリング材については,建築基準法の対象外建材ですので,自主管理規定に基づく表示が不適切であっても建築基準法違反とはなりません。但し,日本シーリング材工業会の自主管理規定に適合しないことが判明した場合には,規定により所定の手続きを経て登録の抹消を行うとともに,この旨を公表する等の措置をとることができるとしています。
なお,当工業会では現在JSIAの商標登録を受審しています(商標登録番号:第4989736号)。したがってFマークの前に「JSIA」表示を当工業会の許可なく表示すると,商標違反となります。

→登録マーク表示モデル
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